ブランド体験を最大化する!「構築方法」とそれらがもたらす「効果」

価値が伝わっていなければ、その商品、サービスは「存在しない」のと同じ

「もの」や「サービス」にあらゆる時間や労力をかけて「差別化」や「独自性」を追求しても、そもそも、その商品を知らなければ、売れるものも売れません。ごくごく当たり前の話ですよね。又お客様は「買わなければならない商品」でない限り、「安いから買う」という購買行動はとりません。価格以外の買う理由があるからこそ、消費者は購買行動をとるのです。

今回は、これらの理由をまとめつつ、いかにお客様の心理に「買う理由」を作りだすのか?その「方法と効果」についてまとめていきます。

ブランド体験=あらゆる顧客接点

ブランド体験とは、顧客がそのブランドと接するあらゆる接点を指しています。実際の商品に触れることだけでなく、広告やウェブサイト、問い合わせ時における対応(電話対応)など、全ての顧客接点が、「ブランド体験」と関係しています。

ブランド要素を整理した後、「顧客接点」について検討することで、ブランドと顧客が「いつ」「どこで」「どのように」接触するのかを想定し、ブランド体験を予めデザインすることが可能になります。

「モノ」も「コト」も重要な時代だからこそ必要なのは、「アイデンティティー」の確立

最近のブランドマーケティングでは「モノからコトへ」、つまり「プロダクト価値からブランド体験価値へ」という流れに変化しています。プロダクトの質を高めることはもちろんですが、プロダクト重視で売れる時代から、価値あるブランド体験を顧客に提供できるかどうか、についても問われる時代になってきました。

顧客への訴え方を戦略的に考えること=顧客のブランド体験をデザインすること」

インターネットやソーシャルメディアの普及によって、顧客側の傾向としても「個」の体験を「集団」で共有していく、そして「集団」の体験も新たな価値として広まっていく…これまでとは違う付加価値が生まれるようになってきました。

口コミなどで評判が広がりプロダクトの価値も高まる、というのは、この「個」から「集団」への体験や価値の広がりを示す、良い例となっています。

一方で、信頼できる「モノ」を生み出すことも、これまでと変わらず大切ですね。モノづくりに力を入れつつも、顧客の体験する「コト」を意識し、ブランドの魅力を理解してもらう。顧客の求めるものを瞬時に読み取り、必要とされるものを提供する、柔軟な発想やスピード感、鋭い観察力なども求められています。

このような視点でブランドマーケティングを改めて見直してみると、「モノからコトへ」というよりは『「モノ」も「コト」も重要な時代になった』という方が適切かもしれません。

ここで重要になるのが、ブランドとしての「アイデンティティー」です。自分たちのブランドは「どのようなものか」を見つめ直す必要があります。自分を良く知らなければ、自分の魅力を発信することはできません。それと同じように、ブランドとしてのアイデンティティーを確立することが、よりよい「ブランド体験」をデザインすることに繋がっていきます。

「顧客主語」のマーケティングが生み出す、多様な「顧客接点」

これまでのブランドマーケティングは「企業主語」であり、モノの価値(=プロダクトの価値)を示すことが中心となっていました。しかし、コトの価値(=ブランド体験の価値)も大切な現在のブランドマーケティングに必要とされているのは「顧客主語」の考え方です。

顧客が何を求めているのか、ブランドに対してどのような「イメージ」を持っているのか、を中心に考えていきます。今やほとんどの人がオンライン上でのコミュニケーションを利用していますよね。情報の検索や閲覧、買い物、家族や友人とのコミュニケーションなど、オンラインを使わない日は無い、と言っても良いぐらいにネットの活用が当たり前になっています。

このような世の中の流れを考えれば、「顧客の求めるものは何か」を知るためにインターネットからの膨大な情報を活用しない手はないのです。

ソーシャルメディアをうまく利用することで、顧客からのコメントやフィードバッグをビッグデータとして蓄積することができます(ソーシャルリスニング)。そうして集めたデータを分析し、顧客のブランド体験を高めるために必要な「顧客接点」を設計していきます。

そして、設定した顧客接点の「質」をどのように高めていくか、を企業全体で共有することによって、ブランド体験を強化することができるのです。このようなプロセスが、結果として「企業価値」の向上に繋がっていきます。

今、必要なのは、従業員を育てること:ザ・リッツ・カールトンの取り組みから学ぶ

これは言うまでもないことですが、企業全体として「同じ方向」や「同じ目的」のために努力することは、企業の成長のために必要不可欠です。集めた情報(※ここでは、顧客主語の視点から集めた情報)をプロジェクトに関わる皆で共有し、活用することで、顧客に魅力を感じてもらえるような「仕組み」や「仕掛け」を柔軟に用意することができます。これを実現できている企業が、実際に成功を収めているのです。

顧客満足度(CS)が高いホテルとして知られている“ザ・リッツ・カールトン”は、「ブランドをつくる」という掛け声のもとに、最高の時間を提供してくれるホテル『リッツ・カールトン』としてのブランド構築を見事に成功させました。その背景には、従業員への教育がありました。「顧客の要求を先読みする力」を育成するために、勉強会やディスカッションの機会を継続的かつ習慣的に設けています。

そして育てた従業員を「信頼」する、というのも大切なキーワードになっています。内容の詳細はここでは省きますが、顧客へのより良いサービスを提供するために、従業員自らの判断によって行動できる「3つのエンパワーメント〔権限委譲〕」が設けられています。

上司の判断を仰がずに自らの判断で、たとえ自分の持ち場を一時的に離れたとしても、そしてある程度の金額が発生したとしても、自分の判断で「顧客へのサービス」を提供することが可能なのです。これは従業員を信頼していなければ、とてもできることではありませんよね。

その前提としてはやはり、信頼できる従業員を「教育」することが重要です。このような取り組みが「インナーブランディング」の成功へと繋がり、顧客からの満足度、そしてブランドへの揺るぎない「イメージ」を生み出したと言えるでしょう。

これからのブランドマーケティングに必要な視点

今回の内容をまとめると、これからのブランドマーケティングに必要な視点は、「顧客主語」の発想、多様な「顧客接点」の創出、そして従業員への「教育」ということができます。この前段階として、しっかりとした「モノづくり」をすることを忘れてはいけませんが、柔軟な発想により「顧客」の姿や感じ方を確実に捉え、最新のデジタルツールの活用によって情報を収集し、それらを担う人材を育成することで、顧客の「ブランド体験」を向上させることができます。これが結果として「企業価値」を高めることに発展していくわけです。

顧客にとって価値ある「ブランド体験」を提供するためには、今こそ、新たな学びが必要ですね!

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