ストーリーブランディングとは何か

ブランディングという言葉は一般的になってきましたが、「ストーリーブランディング」という概念はご存知でしょうか？ブランドという言葉の語源には「区別すること」という意味合いがあります。他とは違う、そこにしかない「価値」を分かりやすく示すこと、とも言い換えることができます。

ここでブランドロゴを例に挙げてみましょう。ブランドロゴは視覚的なインパクトによって、そのブランドを広く知らしめ消費者を惹きつけます。しかし、ブランドロゴが与えるのは視覚的な効果ばかりではありません。消費者の「記憶」にインパクトを与え、ブランドイメージを植えつけることにも貢献しています。

消費者の記憶に残すこと。これがブランディングの最大の目標でもあるわけです。より魅力的なブランドを構築するためには、ストーリー（物語）の助けも必要です。ストーリーの中に「共感」や「驚き」、「発見」という要素があれば、消費者の注目を集めることができます。

大成功している企業が過去に倒産寸前まで追い込まれた話や、何百回、何千回と試行錯誤を繰り返した話、などが人々の共感を集めやすいのは、そこに人間味を感じさせるものがあるからです。ストーリーブランディングのねらいは、魅力的な情報によって消費者の心を惹きつけることにあります。今回は、ストーリーブランディングに必要な３つのステップをご紹介していきます。

【STEP 1】ストーリーリスニングで企業の歴史を学ぶ

ストーリーリスニングとは、企業がどのように誕生したのか、どのようなビジョンを持っていたのか、など企業のあらゆる情報を集めることを意味しています。創業者がどのような目的でその企業を立ち上げたのか。誕生秘話までを辿ることが大切です。そこには企業の本質に関わる貴重な情報が隠されています。この情報収集は、次のステップへと繋がっていきます。

【STEP 2】ストーリーメイキングで瞬時に伝わる物語を紡ぐ

ストーリーメイキングのステップでは、ストーリーリスングで集めた様々な情報を魅力的な短い物語に仕上げていきます。どのような目的で、どのような対象に向けて誕生したのか。様々な情報を集めた中から、適切かつ魅力的な情報を厳選していきます。ここで大切なのは、その企業を簡潔に効果的に表す表現で、短いストーリーをまとめていくことです。キャッチコピーの作成にも似ている部分があるかもしれませんね。

【STEP 3】ストーリーテリングでオーディエンスを意識した発信をする

最後はストーリーテリングです。このステップでは「伝え方」へと意識が変わります。ストーリーメイキングで作成した物語を、どのようにすれば消費者に伝わりやすい内容にできるか、について検討します。どんなに良いストーリーがあっても、聞いた人がそれをまた誰かに伝えたくなるような内容でなければ、なかなか浸透していきませんよね。分かりやすさ、伝わりやすさ、を意識して発信できるように準備を整える必要があります。

情報発信力は「企業価値の向上」への近道

ストーリーブランディングの目的は、企業や経営者の持つストーリーの価値を広めることにあります。すなわち、ストーリーによって生み出される「将来像」や「ビジョン」によって人々の心を惹きつけ、それが結果として「企業価値」を高めていく、という仕組みです。

情報発信の手段が豊富に用意されている現代社会においては、一貫性のある「価値ある情報」をどれだけ発信できるか、ということが企業価値と関わってきます。ありとあらゆる情報が集まりすぎて、何を選べばよいか分からない状況の中で、「これだ！」というインパクトのある情報を発信することができれば、それだけで価値は飛躍的に高まっていきますね。

ブランディングは、戦略的に「仕掛ける」技である！

大切なのは「一貫性のある情報の価値」を「戦略的に仕掛ける」技です。大企業による発信か、それとも個人による発信か…発信元の規模は関係ありません。個人の情報であっても、そこに価値があれば人々を惹きつけることができます。大切なのは、アピールの仕方、インパクトの与え方、分かりやすさ、を揃えた価値ある情報を発信し続けることです。

膨大な広告費をかけなくても、様々な方法を駆使することで、効果的に個人や企業をアピールできるチャンスがやってきたのです。ＩＴ技術が普及した現代だからこそできる発信という手段を活かし、情報発信力を鍛えて企業価値をどんどん向上させていくことは、今や「ブランディング」の根幹です。

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