小売業界の課題と未来!持続的に勝ち続けるために必要な視点とは?
時代の変化、ニーズに合わせて再定義の必要性を考える
・「感覚的に近いところにビジネスチャンスはない。遠いところに収益機会を求めるべし」
・「ゼロベースで常識を疑い、思考の枠から外へでる」
・「次」のステージは最初から明確である必要などない
現在の消費者は、満たされた「物質的な豊かさ」に興味を示さず「つながりや体験など」見えない価値を重視しています。消費者となって考えれば、この価値観の変化は普段の生活から、皆さんも感じているかと思います。又これは日本だけではなく、世界中で起こっている世の中の流れです。
特に若い世代は「何を持っているか」ではなく「何をするか」を重視し、その消費行動は、消費する商品やサービスに対する価値ではなく、個人の価値観に左右されているといえるでしょう。
これらの傾向に対して「何ができるのか?」「何をすべきか?」様々な角度から真剣に考え、行動に移した企業が未来の勝ち組みとなるのは間違いありません。
こんな時代に不要な言葉「選択と集中」僕はこの言葉が大っ嫌いです。
事業が傾くと誰もが口にする使い勝手のよい言葉。これは単に打開策がない。リスクを減らす為に最終的に取る敗者の策です。今や時代はものすごいスピードで変化しています。そんな時代の戦略ではありません。
自分の信念を貫き、新しい流れを引き寄せるために必要なのは「多角的思考」
某有名家電メーカーは「選択と集中」によるアプローチを選び、自社の「強み」である技術とそれに特化した商品開発に力を入れました。しかし、結果は赤字。時代が変われば消費者に求められるものも変わることに気づけないまま、偏ったアプローチを続けたため、企業の存続すら危ぶまれる事態となった事実がありましたね。
今までのやり方で明日もうまくいくとはもはや幻想。
アパレル業界でも厳しい市場環境で必ずといっていい程出てくるのがこの「選択と集中」という言葉。特に高齢の経営層は経営のセオリーと信じ、皆口を揃えて発信している姿は滑稽に写ります。
アパレル業界はトレンドの波を受けやすいため、昨年流行ったデザインが今年も流行るとは限りません。トレンドと呼ぶにふさわしいものが常に存在するとも限りません。他業種と比較して、消費者のマインドがもろに直結する業界です。この変化の激しい業界で「選択と集中」に固執することは命取りになりえます。
持続的に勝ち続けるために必要な視点:多角的思考
企業にとって一番大切なことは「勝ち続ける=利益を出し続ける」こと。投資の世界にはリスクを分散させるという考え方がありますが、業績を回復させるために必要なのもやはり、リスク分散型の考え方です。
利益をもたらす「正解」のやり方(事業)を見つけるまでは、様々な視点から物事を捉え、挑戦し、新たな可能性が高いもの(=収益に結び付きそうなもの)を育てる事が価値創造の原点です。その際、一度見つけた正解も当然時代が変われば変化しますよね。だから常に修正・点検・改革が必要です。
大手アパレルは資金にものを言わせ、新たな事業を生み出してはいます。しかし、ほぼ現場に丸投げでバックアップや育成するという姿勢が全くない。そんな中、結果が出なければあっさり諦め「選択と集中」のループを繰り返すというのが大枠のパターンです・・・。
ある事業が「成功した」と言えるかどうかを判断するためにはそれなりの期間と知見、ノウハウが必要です。ある程度の間隔で結果が見えてこない場合には、また新たな方法を試す。そのぐらいの柔軟さとスピード感が本来求められるべきで、新たな可能性を広げるチャンスとするべきです。
成長期、成熟期を経験した事業や商売は、その後必ず衰退期を迎えます。同じやり方に固執するのではなく、変化しながら成長し続けることが重要です。そのためにも「多角的思考」は必須の戦略です。
ストライプインターナショナルの戦略に学ぶ着眼点と「多角的思考」
業界の異端児こと、ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)の石川社長は、顧客の心を掴んだ戦略で成長し続ける企業の好例ですね。今年の2月にはストライプデパートメント(SD)というECサイトを立ち上げました。アパレルEC市場は、AmazonやZOZO TOWNの独り勝ちが続いているためすでに飽和状態のようにも見えますが、石川社長のやり方はここでも斬新でした。
- ターゲットとなる年齢層をF2層と呼ばれる35~49歳の女性に絞ったこと。
- ブランドイメージを壊さない売り方を考え、これまでECサイトでの販売を躊躇していた企業からも協力を得られたこと。
- ストライプ傘下の自社ブランドは扱わず、本来ならば競合関係にあるような企業(三陽商会・レナウン・三越伊勢丹のプライベートブランドなど)からの出店を実現させたこと。
上記のような特徴は、AmazonやZOZOでは取り込めない「新たな顧客」の流入を可能にします。まだまだ事業成功したとは言い難く、軌道に乗るには時間が必要でしょう。しかしリーマンショック後も同社が急成長を持続している理由は、このような「着眼点」と「戦略」にこそあります。
又、将来「主力事業の営業利益の3割以上を新規事業の開発に充てる」というビジョンを打ち出し、常に新たなアイデアを模索しています。アパレルにこだわらず、最近では、ライフスタイルブランド “koe”(http://hotelkoe.com/)のブランドコンセプトを体現したホテル経営も行っていますね。1階には「食事」と「音楽」。2階には「洋服」。3階は「ゲストルーム(宿泊施設)」。服を買う場所を提供するだけでなく、食事、宿泊、イベントなど、顧客が自分のライフスタイルを自由に選べる空間を提供しています。
・「そこに行けば、色々なことが体験できる」
・「ひとつの場所だけで、色々まとめて揃えられる」
成功体験に捉われず、新しい改革を行う決断力と行動力が、成功する多角的な経営を可能にします。そのアクションポイントは「何をやるか?」ではなく「誰と組むか?」です。
冒頭でお伝えしたように「物」で差別化、独自化できる時代ではありません。
・「感覚的に近いところにビジネスチャンスはない。遠いところに収益機会を求めるべし」
価格や出店する場所を変えるのではなく、他の企業がやっていないことにどんどん挑戦する。このような行動力こそ成功している企業の条件になっています。
ベイクルーズの飲食事業、紳士服業界のエンターテイメント事業など、事業と関連するのかしないかの問題はありますが、まさに多角化でこの時代、結果を残している好例です。
大手に限ったことではなく、優れた戦略を持つ中小企業は大手企業にとって脅威です。経営陣と現場の距離が近く、軌道修正をしやすい中小企業だからこそできる「多角化」は、企業として成長するためのチャンスです。
多様性のある社会だからこそ、「共感」ポイントが大切!
人は誰しも自分のものさしを持っています。それは自分だけの基準かもしれませんし、育った環境や社会によって形作られたものでもあるかもしれません。しかし、全ての人が自分と同じ判断基準を持っているわけではないということを知っておくと、ビジネスチャンスも広がりやすくなります。
少し苦手だと思える分野であっても、見方を変えれば何か斬新なアイデアが浮かぶかもしれません。少し苦手だな…と思う人であっても、協力し合うことができれば今までにない良いものを生み出せるかもしれません。常識にとらわれないことは新しい可能性を引き出すことでもあります。
小売企業にとって必要なのは、お客様の「共感ポイント」をみつけることに尽きます。お客様からの共感が得られなければ、存在する意味も価値もありません。ターゲット(ペルソナ)となる顧客の姿を分析し、その価値観に寄り添う事が絶対的に掘り下げなければならない原点です。
多様な人材を受け入れ、多角的な思考で物事を捉えることができれば、柔軟な思考が生まれ、アイデアがアイデアを呼び込みシナジーとなって大きな塊に十分なりえるわけです。
様々な情報、視点に触れ、新しい情報を吸収することは、自分の可能性を広げ、新たな一歩を踏み出すチャンスです。業績に伸び悩む時代だからこそ、多角的思考で新たな事業を展開してみてください!
お客様は「誰?」「価値は何?」「仕組みはどうやって?」を常に問い続ける必要があります。常識に囚われず自分の頭・心・眼を信じて是非、行動に繋げてください。
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