価格競争による「最悪なシナリオ」を改めて考えてみませんか?

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アパレル業界の現状と課題

アベノミクスによる個人消費の冷え込みが過去最大など、小売を商いとしている企業や個人にとって、相変わらず、逆風の状態が続いています。しかし消費者は本当にお金を使うことに、ためらいを感じ、我慢しているのでしょうか?

例えば 1台6万円以上するスマホを当たり前のように購入したり、旅行や趣味・娯楽など、自分が納得したモノやコトに対しては、それほど抵抗も無く使っているのではないでしょうか?

確かに消費者意識の変化によって、アパレル業界の市場規模は縮小する一方です。しかし、それに反して服の生産枚数は増え続けています。この矛盾を理解していますか・・・?

結論は、ファストファッション系のブランドが台頭し、それまでの価格定義を根本から覆された結果、単価が下がり、それに対抗する手段も、策のない価格主導に走ってしまった為、業界全体がシュリンクしてしまったと考えることもできます。

大手牛丼チェーン店のように、低価格な商品をたくさん売る。単価の減少を販売枚数で補う、そんな薄利多売の市場構造となってしまったということです。

そこで、考えたいのが、売るためには値下げをしなくてはいけないのか?という素朴な疑問。「売上が苦しいから、値下げして売上を作ろう!」多くの企業でこれが常套手段となっています。しかし、そんなルーティーンを繰り返した先に、何が残るのでしょう。今一度再考してみませんか?

過度な価格競争による消耗

「安さ」という価格を武器にしたアプローチはいたるところで目にします。「どれだけ良い商品を届けるか」という視点よりも、「どれだけ低価格で届けられるか」を重視している企業はまだまだ存在します。

低価格を押し出せば成功できるのでしょうか。そう単純ではないですよね。長年の業績不振から海外の企業や投資会社の傘下に入ったものの、未だ目に見える結果を残せていない。そんな大手企業が存在しますね。

企業の傘下に入っても十分な価値ある支援が得られなければ、会社は倒産してしまいます。経費削減やリストラを前提とした改革は、一時的な回復はあるにせよ、必ず業績は落ちてきます。

アパレル業界特有の不可思議な商慣習

もともと、アパレル(ファッション)・小売業界は、消費者嗜好の目まぐるしい変化や、天候、シーズンの影響を色濃く受けてしまう、という課題があります。商品の鮮度を保ちつつ、迅速で柔軟な意思決定が求められる業種です。

他業界に比べると在庫管理最小単位(SKU:Stock Keeping Unit)が細分化されており、さらには管理数量も多いという特徴もあります。売れ残った在庫の管理についても、大きな課題があります。この在庫管理の問題に関しては、消費者を無視し、百貨店と納入メーカー、卸売業者の間で、昔から静かな攻防戦が繰り広げられてきました。

市場の成長が見込めない現在は、できるだけシンプルで分かりやすい仕組みづくりが求められます。返品や値引き、その他もろもろ必要となる対応についても、曖昧な要素を残さない工夫が必要です。

在庫を減らすために闇雲に「値引き」すると、あっという間にブランドとしての信頼をを失います。本当あっというまです!そして、客層は、優良顧客から、一気にセールハンターがメイン顧客の店になってしまうのです。

この顧客層、属性の変化に気付かず、売上5原則をKPIに設定している企業は気づくこともできませんね。なぜ顧客を見ない?なぜ身近なコンシューマー(消費者)の傾向を見ようとしない?マーケティング思考が定着している他業界の方からみたら、まさに不思議な光景です。

新たな価値を作り(リブランディング)、新たな取り組みに挑戦する

価格競争による負のスパイラルについてじっくり考えてみてください。安売りをするということは、それだけの利益しか生み出せないということになります。会社の経営が伸びなければ社員のヤル気も失われ、会社全体のモチベーションも低下します。

では、どのようにすれば価格を下げなくても売ることができるのでしょうか。

答えは価値の「伝え方」「仕掛け方」にあります。

価格が高くても、その理由に納得できれば、消費者は迷うことなく購入します。消費者が感じる価値価格を上げて、「価格以上の価値」を付加することができれば消費者からの正しい評価(=購入)に至るわけです。ここまでは当然ですね。

価値を伝える方法の一つとしては、商品の背景を見せるということが挙げられます。しかし、ここで必要となるのは、価値を感じさせる「仕組みづくり」、すなわち「リブランディング」ができる人材やノウハウです。

消費者が納得できる価値を提供できているかどうか。ここをプロデュースし、ブランディングデザインをできる人材が旗振り役として機能しないと、先に挙げたような定番戦略である「値下げ」に走ってしまうわけです。

アパレルブランドには今まさに、質的な転換が求められています。ブランドとしての「質」を保ちながら、「値下げ競争に負けない」という強い意志と、価値を創造するアイデンティティーが圧倒的に不足しています。

高くても売れる秘密を学ぶ

日本の縫製業は減少傾向にありますが、一方で「産地ブランド」という産地特有の特徴を押し出した製品は世界的にも高く評価され成功を収めています。「高品質で他にないモノ」は、同質化した商品ばかりがならぶ現在の市場の中で、特に際立った魅力的な存在となることができます。

「差別化」ができれば、ブランドの強みを創り出すことができますね。海外のブランドの特徴を見てみると、独自性・高品質・伝統を大切にしたモノづくり・トータルライフスタイル提案・長期間愛されるブランドづくり、といった、全体のレベルを引き上げて、価値を最大化しているポイントが見えてきます。

ブランドが「品質重視」の姿勢を崩さず、「価値」を伝える方法を工夫することで、高くても売ることは間違いなくできます。そんな概念がブランディングの本質です。

ポイントは、商品以外の要素で圧倒的な優位性を打ち出すこと。商品以外の要素でも、お客様にニーズやウォンツがあるものならば、それを徹底的に磨いて武器にすればいいのです。それが、値下げができない理由、または高い理由となります。

  • 競合より高いが、アフターサービスが充実している。
  • 競合より高いが、短納期で納品してくれる。
  • 競合より高いが、1個でも販売してくれる。
  • 競合より高いが、商品説明が丁寧で親切だ。
  • 競合より高いが、何回質問しても笑顔で教えてくれる。
  • 競合より高いが、返金や返品に応じてくれる。
  • 競合より高いが、試用期間があるので、納得して購入できる。
  • 競合より高いが、笑顔の素敵な社員がいる。
  • 競合より高いが、困った時にはすぐに駆けつけてくれる。
  • 競合より高いが、ワンストップサービスだから効率的だ。

ちょっと考えただけで、これだけの要素が出てきます。自分の企業・商品の強みは何か。それを効果的に伝えるためにはどのような方法が最良か。全体を見直し、顧客との接点を改善・強化することで、より大きく膨らませることはできないのか?膨らませることで得られるメリット、ベネフィットを顧客視点で考えた場合何が重要か?

価格という安易な戦略に頼った結果、それ以上の価値がみいだせない…。ハードルが上がった。こんな最悪なシナリオを打開するには、強みをつなぎあわせるクリエイティブ且つ柔軟な発想でしか回避することはできません。

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