「デザインシンキング」こそ、今後のビジネスに最も必要な思考法(5連載 最終回)

アイデアを出せない企業に未来はない <5連載5記事目>

激変したアパレル業界を取り巻く環境によって、もう既に従来型思考の限界にたどり着いたのではないでしょうか?言われるまでもなく、アパレル業界は、IT技術の進化による購買行動の変化、消費者心理の変化、デジタル武装した新規参入企業の脅威など、これまでとはまったく違う環境下で戦う様相を呈してきています。

今連載最終回は、では「アイデア」はどうやって作りだすのか?このポイントに絞って、その本質、効果、必要性について、事例を交えながら、お伝えしていきます。横並びの商品や戦略の差別化など、わずかな優劣の差や意味のない機能に躍起になって消耗することなく、新たな思考法を手に入れて、独自の「強み」を自ら育てる方法をお伝えします。

デザインシンキング(人間視点の発想)でビジネスの裾野を広げる

IDEOのCEOであるTim Brownによれば、デザイン思考は、「デザイナーの感性と手法を用いて、人々のニーズと技術の力を取り持つ」領域を専門とし、「実行可能なビジネス戦略にデザイナーの感性と手法を用いて、顧客価値と市場機会の創出を図る」ものと理解される(Brown, 2008)

従来のやり方の延長線上でしか戦略を発想できていない企業にとって、ではどうしたらいいのか?効果や成果は期待できるのか?色んな戦術をやみくもに試す前に、前提となるデザイン思考の本質を理解して、ユーザーのニーズを中心にビジネスモデルを創り上げる、そんな思考プロセスが「デザインシンキング」です。

でもまだしっくりこない?なぜデザインシンキングが効果的なのか

デザインシンキングと一口に言われても、それが何なのかわからない人も多いと思います。これは、英語の通り、デザイン思考という意味で、優秀なデザイナーや経営者、プロデューサーといった人たちの思考をベースとして、新しい発想を生み出そうというものです。 あまり簡略に説明してしまうと語弊が生じる恐れもありますが、それでもそれを恐れずに言うならば、経験の延長線上ではなく、新しい起点から循環サイクルを作ることだと思ってほぼ間違いありません。

優秀なデザイナーやプロデューサーが物を生み出すとき、そこには数々の背景や、インサイト、つながりを見つけ、それをもとに多様な視点から発想、試作するというサイクルで物をカタチにしています。この理解から始まり、発想を経て試作するというサイクルを何度も繰り返していくことでイノベーティブな結果を導き出そうとする事をデザインシンキングというのです。

スタートは過去の経験ではなく「今、これから」

デザインシンキングの始点となる「理解」 これは、数々のデータによる調査や知識の集合体、または異業種や他業種といったシームレスな視点からもたらされる情報をもとに行われるものです。そして、これがデザインシンキングの強みです。 これまでの発想の延長線上で生まれるものは、真にイノベーティブなものとは言えません。それは業界の常識であったり、既存の技術や市場の原理の先にあるもので、よく言えば予想のつきやすい、悪く言えば目新しさのない発想に過ぎません。

しかしデザインシンキングの視点である「理解」は、いまという時代の現状を調べ、把握することから始まります。いうなれば、社会にある問題点(顧客の需要)を発見するとことから始めるのがデザインシンキングだと言えるのです。今までなかった着眼点、今までなかった需要。これを徹底して見つけ出し、そしてそこから何かを始める。新しいイノベーションを起こすのに、最適な思考法が「デザインシンキング」です。 まさに、アパレル業界の慣習や、過去の成功事例から抜け出せない業界課題に対して、新たなビジネスアイデアを考える「思考法」です。多くを「知り・学び」それを基に「価値を創り」最適なカタチで「価値を届ける」一連のビジネス創発の方法です。

デザイン思考の本質は人間視点の発想

テレビのリモコンにはたくさんのボタンがあります。ではあなたはそのうちいくつを使っていますか?と問われると、ずいぶん使っていないことに気づくはずです。ほとんど使っていないと言ってもいいのではないでしょうか。この、ボタンの多い電化製品という部分に着目して、一世を風靡したのが、あのi-podです。たった3つしかボタンのついていないi-podは、むしろボタンが少ない方が使いやすいことを証明し、その使いやすさが爆発的なヒットにつながりました。

では、なぜその発想に至ったのでしょう。 それは、その発想の起点が、企業の常識や業界の当たり前ではなく、人間そのものだったからです。着眼点を180度変えて、いまという時代とそこに生きる人間を理解し、そのデータをもとに発想したからこそ、イノベーティブな結果が生まれたのです。

背景の異なる人材の束が企業を変える!アライアンス戦略でレバレッジを

ではこのデザインシンキングは、一部のそういった思考を持つ人間にしかできないのかというと、それは違います。要は、こういった思考法をまねるという方法をとればいいだけですその思考法を持つプロデューサー的な役割を持つポジションを組織に定着させ、シームレスで多彩な情報を持ち、それをもとに発想する人材を育てていく姿勢にこそ成功の鍵があります。 そういった内外を問わない人材さえいれば、今すぐにでもデザインシンキングを取り入れたイノベーションは可能です。

そしてそこから生まれてくるのは、新しい未知なる方法と可能性です。外部環境には、背景の異なる優秀な人間がたくさんいます。そんな環境を利用して、アライアンスを積極的に行うことが次の一手となりえます。
アパレル業界の課題である、横並びの商品や戦略の差別化など、わずかな優劣の差や意味のない機能に躍起になっていませんか?「買い」に結びつく消費者の欲求を見極めて、自社が選ばれる、選ばれ続けるために、デザインシンキングは今最も必要な思考法です。

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