サイバーマンデーを仕掛ける「デス・バイ・アマゾン」の脅威!淘汰の時代に求められる小売のあり方

茹でガエルになる前に意識して対応すべき理由

皆さんは「アマゾン恐怖銘柄指数(デス・バイ・アマゾン)」という株価指数について、耳にしたことはあるでしょうか?急成長を遂げ、躍進し続けるアマゾンによって業績悪化が予想されている米国の小売企業の数々…。

日本の小売企業も、確実にアマゾンのようなデジタルを駆使した新興勢力に脅かされはじめています。ユニクロの柳井社長も「このままでは小売業界は古い産業になる」と常日ごろ危機感を口にしている近未来の現実です。

「それならば、これからはオンラインショッピングの時代だ!コストもかかるリアル店舗は閉鎖だ!」と極端な判断をしてしまうのも危険な考えです。アマゾンはじめ、デジタルを駆使した新興勢力は、緻密な戦略シナリオを持ちながら、顔の見えないバーチャル空間でデメリットをメリットに変えて利益を得てきたのです。

それだけ過去の経験やノウハウを蓄積しているからこそユーザーのニーズに応えられているわけです。自社でECを展開したとして、豊富な品揃えと便利さ、配達の迅速さ、パーソナライズに対応した強者に正面から挑んで勝てますか?

同じことをやろうとしても勝ち目は無いのは明白ですよね。しかし、成果をあげる方法はあります。重要なのは、購入した顧客をファン化させる企業なりの、おもてなし「ブランド体験価値(エクスペリエンス)」の提供です。これは体験だったり、思い出だったり、利便性だったり、見えない価値をカタチにすべき活動全てが含まれます。

最重要なポイントは「売る」ことではなくお客様が「買い続けたい環境」をどれだけ高いレベルで作る事ができるか。この戦略シナリオ・導線部分にあります。噛み砕いて説明すると、買って頂いた後にどのようなロイヤル施策を実施し、関係性を築けるか?ここが持続的な成長を支える「着眼点」です。

売上が安定しない企業は、総じてこれら、購入前・購入時・購入後の戦略シナリオが明確に存在していません。
これではいくら「いい商品」があったとしても、常に売上は頭打ち、飛び抜けることなどできません。

人はその企業の商品・サービスを購入する理由、購入したいと思えるほどの価値、が存在すれば、品揃え・便利さ・迅速さ、といったメリット以上に、「自分にとっての価値」を重視し、購入を決意します。

「価値」の本質を提供することができれば、顧客の満足度は高まり、ブランディング効果が生まれます。そして、○○なら御社という指名買いに繋がっていくわけです。『売上は直接的に何かをやれば売れる時代はとうに終わり、間接的なアクションを繰り返し、価値の連鎖が重なり合って生まれる時代』です。それだけ成熟市場で売上をあげることが難しい時代に突入しているのです。

そんな時代の中、資金や時間に制約がある中小企業はどのように対策していくべきでしょうか?

リアル店舗=販売の場、とは限らない

まずはリアル店舗の概念から見直す必要があります。インターネットが登場する前は、リアル店舗=顧客接点、でした。唯一のブランド接点ともいえるリアル店舗は、企業にとっても必要不可欠な存在でした。

しかし、あらゆるものがオンライン上で処理できるようになり、顧客接点はあらゆる場所に存在しています。今までのリアル店舗の役割のままでは、余計なコストだけがかかる無駄な場所となってしまいます。

リアル店舗に販売以外の意味を持たせることができれば、より豊かなブランド体験を提供することができます。その先行事例はアップルに見ることができます。アップルストアからストアの名称が消え、「アップル(店舗名)」という表記に変わったのはご存知でしょうか?

店舗のスタイルは以前と変わりませんが、近年ではワークショップに力を入れ、店舗まで足を運ぶことで得られる新たな「体験」を提供しています。特にキッズ向けのワークショップを積極的に開催し、子どものファン化から家族全体のファン化に挑んでいるようです。

ウェブサイトだけでは提供しきれないワクワク感・達成感・満足感が得られるように、新たな戦略を実践していることが伺えますね。今は、リアル店舗=販売の場、とは限りません。顧客が何らかの価値や満足感を感じられるような仕組みを作り、それを提供することでリアル店舗に新たな役割を与える必要があります。

リアル店舗×オンラインショップの可能性

上述の通り、リアル店舗にはリアル店舗ならではのメリットがあります。どれだけAIが進化しても、人間ならではの感覚や発想に限界はありません。機械ではできないことを実践できるのが、生身の人間の価値です。その価値を最大限に活かし、顧客との接点をより豊かにするための方法を生み出すことこそが、成功への近道です。

現代の消費者は「便利さ」「楽しさ」を重視しています。リアル店舗とオンラインショッピングの両方の良さを活かした価値の提供は、今後生き残るために重要な「着眼点」です。

国内小売の雄、「しまむら」もここにきて、初めてECに着手する動きを見せています。リアル店舗のみの企業は、今のままではおそらく生き残ることはできません。

その反面、ECで成功をおさめた企業は、リアル店舗に進出しています。その理由は、これまで培ってきたノウハウを活用して、リアル店舗で顧客体験を提供する価値を理解しているからに他なりません。

ECの整備を進めつつ、リアル店舗に新たな価値を持たせ、この2つを融合させたブランド体験価値を創造する必要があります。利便性や自社の都合を優先し、失敗したオムニセブンの二の舞にならないように「オムニチャネル2.0」を考え、消費者の五感に訴えかけるプロモーション施策など折り込みながら、あくまで、エクスペリエンス(顧客体験価値)を目的とした戦略・戦術とすることで、やるべき事が明確になり、コスト以上の価値を生み出す原動力となりえます。
これは決して、資金が豊富な「大手企業だから」では」なく着眼点さえ間違えなけれな「中小企業」であろうが可能な施策です。

商品の感触を確かめたり、食品であれば試食をしたり、様々な体験が得られることで、購入のハードルは下がります。これは、とりあえず食べてもらうという体験価値と一緒です。「試食したらあまりにも美味しかったので、ついつい買ってしまった」「着て見たらすごく似合ったので思わず買ってしまった」という体験は、誰にでもありますよね。

そんな時、人はワクワク・ドキドキしているはずです。実際の体験を通して感情が動くこと。これが、購入を決意する大きな決め手となります。ブランド体験価値の提供は、企業にとって最も大切な要素なのです!

消費者の心を掴むのは、新たなアイディアです!

インターネットの普及により、ショールーミング(実店舗で商品を確認してから帰宅後に最安値のショップを検索して購入する)やウェブルーミング(商品情報を検索し実店舗で最終確認をしてから購入する)という消費者の新たな購買行動も目立つようになりました。

リアル店舗だけ、オンラインショップだけ、ではショールーミングもウェブルーミングも不可能ですよね。現代の消費者の欲求に応えるためには、実物を確認できる場(リアル店舗)と手軽に購入できる場(オンラインショップ)の2つを揃える必要があります。

<過去参考記事>
消費者の意識変化=「ショッピング方法の進化」の必然

この本質にいち早く気づき、「体験ストア」を拡大した企業に、丸井グループの婦人靴部門を挙げることができます。靴はネットで購入しにくい商品のひとつですね。しかし、実店舗でサイズ感・色合いを確認し、その場で専用タブレットから購入し、商品が後日自宅に届くというシステムは非常に画期的でした。サイズへの不安、実際の色合いへの不安、が一気に解消されたことが、成功に結び付いたのかもしれません。

もちろん、この取り組みをそのまま真似することはできないかもしれません。しかし、自社の良さを活かした新たなアイディアを思いつくことができれば、「リアル店舗×オンラインショップ」の新たな方程式を見つけることはできるはずです。コスト・資金の問題ではなく、自社らしいアイディア力が全てのカギを握っています。

これらを推進する為に必要不可欠なのが、デジタルツールの有効活用です。デジタルツールは高額?などと思っている方。
そもそも理解をしようとしていません。今は、無料〜1万円代でも、ものすごく優秀なデジタルツールはいたるところで開発されています。これらを武器にするのです。正直、これからはデジタルに疎いままでは生き残ることはできません。日々進化する消費者の行動を観察し、最新のビジネススタイルを研究することで、確実な成功に近づけるのです。

  • リアル店舗での新たな価値の提供
  • オンラインショップの導入

この2つは、今すぐにでも取り組みたいポイントです。

何度も強調しますが、ただ作る、やるではなく、あくまで双方のシナジーを想定した戦略シナリオが必要です。縦割り組織体制であれば、横串をさして、会社全社プのロジェクトとするなど、企業全体の課題として取り組む姿勢を経営陣が示し、進めていかなければ、必ず部署通しの軋轢(コンフリクト)が生まれます。

時代に合わせた柔軟な組織体制を築いたり、プロジェクトチームを結成させたり、双方をグリップするキーマンをバックアップしつつ「責任、権限」を渡して進めていくことが求められます。

事業失敗の要因は「目的の曖昧さ」「計画の曖昧さ」「役割の曖昧さ」この3つの曖昧に集約されます。
ここを「見える化」して共通認識を持ちながら進めていくことをオススメします。


弊社は「デジタルシフト」時代に最短距離で成果をあげるシナリオをこれまで多数作り支援してきました。
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