メディアで話題のユニクロが始めた「新販売方法」の狙いとは?

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「4月5日、NHKでクローズアップされたニュース」

ユニクロが始めた「新たな消費スタイル」に対し「新たな販売方法」が話題となっています。今回はその目的、経緯を明確にした上で今後の展望、又これらが広がることで発生するデメリット・課題まで独自の視点で掘り下げていきます。

まずは、何が新しい販売方法なのか?この結論からお伝えします。

スクリーンショット 2016-04-06 0.11.04「ユニクロ」は消費者がみずから商品を選ぶのではなく、好きなタレントやモデルを指定して、その人が選んだ商品を購入するという販売方法を4月5日からスタートさせました。(現時点通販のみ)消費者は好きなタレントやモデルを指定すると、その人がおよそ1200種類のTシャツから選んだ5つの商品が毎月1枚ずつ届く仕組み。現在はリスクが低いTシャツを対象に話題作りや、テストマーケティング色が強い印象ですが、この結果を基に更に商品を広げることも視野に入れているようです。

しかしこれらは決して新しい試みではありません。既に「エアークローゼット」に代表されるレンタルサービスは、スタイリストが選んだ商品を毎月「レンタル」する仕組みを稼働させています。ショップ店員にチャットでスタイリングを相談するサービスも生まれています。又洋服同行サービスは、それ以前から存在しているサービスです。

ではなぜ今「選んでもらう」サービスが話題になっているのか?

スクリーンショット 2016-04-06 0.10.31背景には多様化したニーズ・価値観によって、モノだけでなく体験を楽しむ「コト消費」や、その道のプロや友人に選んでもらう「お任せ消費」と言われて久しいキーワードの存在があります

ここで販売の現場に目を向けてみます。皆さんも売上が欲しいが為に、ミエミエなプッシュ型の接客スタイルに嫌気がさしている方も多いのではないでしょうか?

過去ブログ【消費者に聞いた「内心やめて欲しい」サービスとは?】

しかし顧客心理は、プッシュ型が嫌でありつつも、下記の調査のように「誰かに選んでほしい」願望も持ち合わせてもいます。

ユニクロがインターネットを通して1000人を対象にアンケート調査をしたところ「誰かに選んでほしい」と答えた人が全体の44%に上ったとのこと。母数は少ないものの、ほぼ半分という驚きの結果を「事実」と受け止め、今回の販売方法に乗り出しました。

消費者心理を紐解くと「自分のファッションに自信がない」その道のプロに選んでもらった方が確実」といった理由や「自分で買い物に行くとついついワンパターンになりがち。新たな変化を楽しみたい。」といった更なる自分磨きの一手段として使い分けたい心理が伺えます。又、商品だけではなく著名人を使った「新たな選び方」には「買い物体験」の楽しさがあります。潜在的なニーズへの対策と買い物体験の新たな提案。この2つを同時に達成させた部分が斬新さを生んだ要因ではないでしょうか。

本来買い物は「自分が欲しいものと出会い、選ぶからこそ楽しい」
私もそうであるように、この価値観も勿論存在します。しかし、それとは違った「買い物体験」のあり方は、今後もネット・リアル問わず、大きなヒントになるはずです。カスタマイズしつつ今後も増えていくことは十分予測されます。

今後の課題・懸念と対策

ただ、最後に課題・懸念点として感じた点をお伝えしたい。「選んでもらう」という行為が加速すると「自分で探す」という行為がなくなります。リアルショップに関しては、極端な話、来店自体が減るということ。

「集客=売上」といった方程式があるように、店頭のVMDや商品に惹かれて「衝動買いする」という行為が少なくなるのではといった懸念も感じます。株式会社マーシュが行った自主調査によると、7割の人が衝動買いすることが「よくある」または「たまにある」と答えています。この数値は決して嗜好品を扱うアパレル業界にとってあなどれない数字です。

「他社もやっているから自社も遅れず実行しなければ」など表層的な意思決定をした場合、結果、集客が減り売上が低迷した。といった本末転倒になるリスクは常にはらんでいます。その後に何が起こるのか?しっかりと戦略シナリオを描き、なぜそれをやるのか?手段先行にならないように目的とゴールをを意識した上で進めていくことが賢明です。

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