情報の「分かりやすさ」は最大の益になる
「賢い消費者」の存在を知る
昨年行われた日本国内在住の1000人の男女(消費者)を対象とした大規模なサンプリング調査の結果から、消費者の多くが自ら「必要な情報」を選んでいる姿が見えてきました(Adobe Marketing Cloud、 2016)。アドビによるホワイトペーパーの中で、「消費者主導時代」という言葉で現代の特徴を表現しています。今回は、これらの参考文献から、現実を紐解いてまとめてみます。
データで裏付けがあると実感がわきますね。確かに膨大な情報の中から自分に本当に必要な情報だけを選ぶ「賢い消費者」は増え続けています。どんな情報を選び、どんな情報を捨てるかは、消費者次第という時代。
このような消費者の心をグッと掴むためには、消費者の「賢さ」はどこに表れているのか、その実態を正しく読み解かなくてはなりません。これまでのマーケティング手法を見直し、消費者のニーズを知る努力をしなければ、間違いなく企業や経営者が「利益」を生み出せない時代に突入していることは確かです。
往来メディア vs. デジタルメディアのおさらい
今ほどインターネットが当たり前で無かった時代は、テレビ・新聞・雑誌といった「往来メディア」が消費者にとっての主な情報源でした。しかし近年では、この往来メディアが消費者の商品認知に与える影響は減少傾向にあります。
その代わりに増えたのが、ニュースサイト/ポータルサイト・(企業の)Webサイト・ソーシャルメディア・企業のメルマガ、といった「デジタルメディア」です。「店頭で気になったものはスマホを利用してすぐWeb検索する、あるいは後で検索する」という消費者の割合が6割に達しています。
多くの人が当たり前のようにスマホを持つ時代になったことも、この結果に大いに影響したことでしょう。また8割を超える消費者が、往来メディアの情報で商品を知った後で、さらなる情報を求めて「Webサイトで調べる」といった行動をとっています。時間を気にせず、いつでも好きなときに、知りたい情報を好きなだけ得られる「Webサイト」の役割は、消費者にとって非常に重要なものということが分かります。しかし、この現状は企業や経営者の方々にあまり知られていないのも事実です・・・。
Webサイトが効果的に「活用されていない」現実
商品情報の調べ方は、性別によっても若干異なります。例えば、ニュースサイトやポータルサイトを利用する割合は男性の方が多いのですが、女性はテレビやソーシャルメディアから情報を得る傾向が男性よりも強いということが分かりました。販売したい商品が「男性向け」「女性向け」という性質のものであるなら、対象に向けた発信方法も考えるべきです。
消費者全体の傾向として、企業からの電子メールをノイズと感じる割合は8割以上でした。新商品の情報やお得な情報を発信しても、その多くがきちんと読まれず削除されることを意味しています。多くの「賢い消費者」が商品情報をWebサイトから得ているにも関わらず、Webサイトの情報がきちんと整備されていないという問題も残っています。
情報量の多さに嫌気がさしている消費者心理があるなかで、発信の仕方を変えなくては、消費者主導時代に乗り遅れてしまいます。商品が検索されページが閲覧されても、Webサイトに記載されている情報が不足していたことが原因となり、購入を中断した割合は6割を示していました。
あと一歩というところで、半分以上の顧客を失っていることになるので、これはかなりの割合といえますね。知りたいときに情報が得られないWebサイトは、消費者にとって全く「価値」の無いものなのです。魅力的で「分かりやすい」情報提示の方法がこれまで以上に求められている、と言えるでしょう。
発信方法を変えれば「利益」につながる
消費者は、他の商品との比較、最新情報、客観的な情報、詳しい情報、など様々な情報を購入前にできるだけ知りたいと思っています。個々の希望に合わせた合計金額のシミュレーションができるような仕組み、商品を自分の好みにカスタマイズして表示できる画面、実際に購入した人からの口コミ、自分でも投稿したりできるような充実したWebページの提供が求められています。
消費者が自分で知りたい情報を「カスタマイズ」できること、「客観性な評価」が見えること、この2つが重要な要素といえるかもしれません。Webページに情報をただ掲載するだけでは不十分です。「分かりやすく」視覚に訴え、消費者に自分で情報を操作させながら検討できるような自由を与える必要があります。
「自分らしい商品」を選び購入したいという「消費者の欲求」を理解すれば、自ずと結果はついてくるはずです。不要な情報を排除し必要とされる情報を載せるためには、「賢い消費者」の行動を理解しなくてはいけません。消費者へのパーソナライズが「利益」に繋がっていくはずです。
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