異業種からアパレル業界に参入する黒船の野望とは?
あの「ニトリ」がアパレル業界に進出!?
最近「ニトリ」の他にも異業種からアパレル業界に参入する企業が増えています。完全個室のプライベートジムとして人気を博している「ライザップ」も代表的ですね。なぜ、一般的には斜陽産業と言われるアパレル業界に、異業種から参入するのか?この背景を考えていくと、アパレル業界の可能性と、実力ある企業の緻密な戦略が見えてきます。
成長余地のある異業種としてアパレルに目をつけた!?
ボトムオブピラミットで考えると、アパレル業界において、圧倒的な知名度と人気を有する企業として「ユニクロ」や「しまむら」「無印」の存在があります。競争が激化しているアパレル業界に、なぜ2016年2月期で売り上げ約4581億円、営業利益、約730億円の高水準を保っている「ニトリ」が参入するのか?増収増益を続ける「ニトリ」を例にとり、異業種から参入する理由と根拠を紐解いていきます。
業界では、購買意欲の高いヤングレディース中心にレッドオーシャンのオーバーストアが課題視させています。しかしポジショニングマップに並べた場合、ぽっかり空いた空洞があります。30代以上に向けた手頃な価格帯の商品を揃えたブランドは、国内ではあまりみかけません。まぁ「ユニクロ」だったり「グローバルワーク」だったり、SPAの雄であるアパレル大手が寡占状態にあるポジションです。数は少ないものの、規模の経済が働き、中小のアパレルは勝てる見込みが薄いとの理由で参入しきれていない領域。「ニトリ」は、このポジションを確実に狙いにきています。
体制を整えた上で異業種に挑む
しかし、ノウハウがない「ニトリ」が1から衣料品を独自に開発していくのは時間も費用もかかりすぎるとまずは推測します。その点に関して、「ニトリ」は100~200店規模の衣料品チェーンを買収し、ノウハウ含めて自社に取り込み、商品の入れ替えを、既存の家具と融合させて展開していく戦略を持っているようです。強みを生かしたライフスタイル「衣・住」の顧客囲い込みを狙っているわけです。
最初は買収した既存の衣料品チェーンの商品力を活かし、やがて「ニトリ」が得意とするSPAモデルを展開していくことは容易に考えられます。どれほど時代のニーズが変化しても、人間にとって欠かせないものは、「衣・食・住」ですよね!?「住」の分野で確かな実力を有している「ニトリ」が、次に狙ったのが「衣」の分野であると言ったらより分かりやすいかもしれません。
いずれはそこに「食」も入れて、「衣食住」SPAグローバルカンパニーを目指している。そう考えたら、非常に面白い展開になるとみています。
本物志向のワンストップショッピングを提供できる企業!駅ビル、SC、百貨店のように買い回りしなくても「衣・食・住」が揃う専門店。年齢関係なく、ファンを増やして、LTV(顧客生涯価値)を最大化できる素地が、十分揃っていると言っても過言ではないと感じるわけです。
「お値段以上・・・」の誰が聞いても連想できるフレーズの浸透も、ブランディング視点で十分優位性があります!国内には既に同じ業態で「無印」もあるし「そんな甘くないよ」とネガティブな声も聞こえてきますが、差別化を図れば十分いけるのではと思っています。
ただし・・・。そこには、顧客の期待に応えるだけの優秀なプロデューサー、クリエイターが必要です!「僕がやる!」と言いたいところですが、さすがにそれは難しい為、ここだけの話としておきます(笑)
異業種へ参入するリスクと限界打破の可能性
異業種へ参入することは、事業拡大の可能性があるものの、同時に利益をあげている本業の分野を圧迫するリスクもあります。異業種分野からもたらされる赤字によって、利益がマイナスになってしまうリスク懸念も、当然想定しての参入でしょう。
「ニトリ」は、家具業界の分野で確かなブランド力を有していますが、当然、顧客は異業種のアパレル分野の商品にも、「ニトリ」のブランド力が活かされた、低価格で質の良い商品が提供される期待感を持つでしょう。
そんなバランスを考えつつも、むしろ、業種にとらわれないシームレスな提携こそ、新しい価値を生み出し寡占状態の壁を打破できる可能性があると言えます。既存の考え方の延長でしかない、ものの見方では、多様化する消費者のニーズに答えるのは本当、難しい時代に突入しています。
低価格で高品質且つベーシックな商品となると既に「ユニクロ」「無印」が君臨しています。熾烈な顧客争いを展開する可能性は高いものの、豊富なバリエーションと顧客体験の提供に優れた強みを「ニトリ」は持っています。シームレスで多様な事業展開は、シナジー効果を生み出し、顧客個々のロイヤリティーにつながると考えることもできるのです。
変化の激しい現代において、成長を続けることこそ唯一安定を保持できると言い換えることもできます。過去の成功事例にとどまっているだけでは成長は見込めません。「ニトリ」のように、メインの事業を育て安定した収益が見込める基盤を作った上で、新しい異業種に活路を見出すのは、今後どのような企業にも当てはまる、合理的な考え方だと言えるでしょう。
成功事例を生み出せば新しいトレンドとなる
「ニトリ」のように、異業種の穴に目をつけ、これまで本業で培ってきた事業力を活かして参入することは、リスクはあれど、企業としてプラス要素の多い行為ともとらえられます。成功事例となれば、新しいトレンドになり自社ブランドの価値を最大限底上げすることができます。こんな時代だからこそ、「新たな挑戦」は、企業のさらなる発展の為には欠かすことのできない成長戦略の要であることは間違いないです。
最後に、岡本太郎さんの好きな(笑えるけど、うなずける)魂の言葉で締めます!
同じことを繰り返すくらいなら、死んでしまえ。
By 岡本太郎
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