消費者心理を考える!モノを「選べない」消費者が増えてしまった!その背景とは?

「消費多様化の終わり!」このフレーズ気になりませんか?
雑誌日経ビジネスの表紙を飾ったこの過激なタイトル。今やITの進化、スマホの普及によって、消費者ニーズは多様化した。これが誰もが感じている現代社会の変化ですよね?しかし、逆張りを狙ったこの「終わり」とは何ぞや?

そんな疑問からパラパラとめくり、まんまと納得させたれたその内容。
はい、確かにこれは、今後小売ビジネスを成功させるには必ず理解しなければいけない真理ですね。今回はこの「消費多様化の終わり!?」の真相を派生させて、次世代小売のあり方を、新たな切り口で提言していきます。

現代の消費者は「迷う」行為を嫌う

現代の消費者は「迷うこと」を面倒に感じる傾向があります。「選ぶ」行為そのものを、時間の「無駄」と感じてしまうわけです。物が少ない時代であれば、「迷う」行為そのものは、迷える贅沢だと感じられる時代でした。迷うほどの選択肢があり、その中から選べるほどの経済力を持っていることは、ある種のステータスと感じる時代。

しかし、現代社会において、生活全般で「迷うこと」が増え、疲れを感じる消費者が多くなったのも事実です。以前と比べて金銭的に余裕が無い人も増えていますし、共働きが増えたことで時間も不足しています。お金も時間も不足しているのにモノが溢れている…。その反面情報は莫大に増え続けている。このミスマッチな状況こそ、「買い物ストレス」となって消費者の重荷になっているのです。

必要なものでも「選びたくない」消費者

WEBリサーチの大手「マクロミル」によれば、生活必需品であっても、約6割の人が「選ぶのが面倒」だと感じるそうです。さらに驚くのは多くの消費者(およそ5割)が「洋服選び」を面倒だと感じているというデータ。自分自身を表現する武器ともいえるファッションも、今や「選びたくない」と感じてしまう消費者が多い時代になってしまったのかと思わざるをえない時代。

現代の消費者が買い物ストレスを感じてしまう原因のひとつは、やはり「モノ」の多さに尽きるでしょう。顧客目線や多様性という言葉が一人歩きした結果、とにかく沢山の商品をラインナップする。というリスクを分散した生産、売り方が目立つようになってきました。しかし、大量な情報の中に、大量の商品が溢れってしまった結果何が起こったでしょうか?顧客が「選びにくい=迷ってしまう」状態を作りだし、結果的には買い物嫌いの顧客を増やしてしまった本末転倒の結末です。

多様性≠商品の数

実際のところ、「多様性=商品の数」と読み違えてしまった企業は多いかもしれません。これはアパレル業界において特に顕著な傾向です。マルチブランド戦略や顧客心理を無視した新規ブランド開発、売れ筋商品への過剰な供給など。商品を揃えることだけに集中した結果、大量の在庫を抱え、値下げを繰り返す悪循環が繰り返されてきました。残った在庫は値引きやセール販売の常態化という問題に必ずなります。

大量生産・大量消費の方程式は、規模の経済が働く大手企業でしか成り立ちません。爆買いのような行為は高度経済成長期に既に終わっています。商品の多機能化や品数を増やすだけの安易な解決だけでは、現代の消費者の心には響きません。売れる商品を生み出す本質は「豊富さ」ではなく、もっと別のところにあることを理解いただきたい。

売れている商品の最大の魅力は「安心感」

現代社会において「売れる商品」を生み出す本質は、「顧客好み」の「安心できる」商品を提供すること。インターネットが普及した結果、わざわざ店舗を歩き回って選ばなくても、スマホで情報を仕入れることができるようになりました。わざわざ実店舗に出向かなくても、ネットで注文すれば数日のうちに商品が届きます。

そして商品を選ぶ際も、自分で選ぶというよりは、口コミを見てレビューの高い商品を買うような傾向も目立ちます。ここで見えてくるのは、「選ぶのは面倒」だけど「失敗はなるべくしたくない」という消費者心理です。このような顧客に買ってもらうために効果的な宣伝文句は、品揃えの豊富さでも、有名人が使用しているアピールでもなく、「あなたにピッタリ合った、信頼できる商品です」というオンリーワンの訴求です。

様々な情報を手にし、賢くなった消費者は、買う行為を「時間を削る無駄な行為」と感じるようになりました。現代の消費者は非常に手強いという事実を、まじまじと受け入れなくてはいけません。消費者が手にする情報が今後さらに増えていけば、消費者側が「買い物」のために能動的に動くことはより少なくなると予測がつきます。

今後は自分で商品を探さなくても、AIが情報を分析し「必要な商品」や「自分好みの商品」をオススメしてくれる時代が既に確立され、今後買い物のカタチは劇的に変化していきます。リアル店舗を構える小売業にとっては、まさに脅威といえます。では、小売業の強みを活かしながら、どのように立ち向かっていけば良いのか?このポイントを考えていきましょう。

プロだからできる「手厚いサービス」を提供する

今、消費者に求められているのは、好みを分かってくれる売り手による「手厚いサービス」です。「これがオススメ」という的確な提案(買う理由を提案する)ができれば、消費者にとっては選ぶ時間を短縮し、失敗するリスクを減らせる為、大きなメリットとなります。

豊富な知識を持つプロが、フィルター(編集)をかけて、適正な数まで絞り込んだ選択肢を顧客に提示することができれば、買い物ストレスに陥った消費者でも安心して買えるようになります。絞り込まれ厳選された、尚且つ「自分に合った選択肢」の中から「欲しい」と感じた商品を選ぶことは、買い物の「楽しさ」を再び思い出すきっかけ作りにもなりますね。

消費者にとって、効率よく、時間を無駄にせず、失敗しない商品を「楽しく」選べるような売り方をデザインすること。売れない企業に必要なのは、顧客視点を見据えた「選ばれる理由」と「選びやすい体制」の「仕掛け」づくりに集約されます。

膨らみ過ぎた商品数を整理し、顧客の求めるサービスを提供する方法を見つけることができれば、あなたの商品は必ず売れるようになります。商品そのものへのこだわりを捨てて、「顧客との新たな関係性」の構築や、「選ばれる理由」となる強力な「独自性」を追求し発信していくことが「消費多様化時代」を克服する大きな鍵となります。

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