【2016年ヒット商品番付発表】個人と個人が気軽に繋がる『メルカリ』成功の仕組みを学ぶ
「日経トレンディ」が毎年恒例のヒットランキング「2016年ヒット商品ベスト30」を発表。この企画は2015年10月から2016年9月までに発表された商品やサービスを、「売れ行き」「新規性」「影響力」の3項目で総合的に判定。それぞれのヒットの度合いを評価し集計したもの。今年の顔ぶれ上位5位までは順当にヒットした名前が並んでいますね。
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『第1位 ポケモンGO』
・一時期の爆発的なブームは終焉したが、あのインパクトは衝撃的。納得の1位
『第2位 君の名は』
・わずか5週間で興行収入は111億円を突破、「千と千尋の神隠し」に迫る勢い。
『第3位 IQOS』
・煙が出ないタバコ、革新的な機能とスタイリッシュなフォルムが人気の要因
『第4位 インスタグラム 』
・今年マスの層に一気に広がった、画像投稿型SNS。
『第5位 メルカリ』
・注目の「共有型経済」シェアリングエコノミーをビジネスとして成立
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今回は、もはや知らない人はいないと言っても良いほど普及したフリマアプリ、『メルカリ』を例に挙ながら、シェアリングエコノミーの力をご紹介いたします。メルカリのビジネスモデル、プラットフォームなどを理解しながら、短期間で成功した秘訣を探っていきます。
メルカリのビジネスモデル:誰かの要らないものは誰かの欲しいもの
誰かの要らないものは誰かの欲しいもの…「十人十色」という言葉がありますが、10人いれば10人がそれぞれ様々な趣味を持っていますし、現在使っていない何らかの「もの」を沢山持っていることでしょう。昔は気に入っていたけれど今は全く着ていない服…最近めっきり使わなくなった電化製品…。たまたま集めていた景品だけどもう興味が無くなった…。家の中を見渡せば、様々な「いらないもの」があるかもしれませんね。
『株式会社メルカリ』取締役、小泉文明氏の「なめらかな社会を築く(Build an Efficient Society)」というユニークな発想は、まさにメルカリのビジネスモデルと言えます。小泉氏は、
1億人の人々それぞれが、現在使っていない「要らないもの」を、1人あたり【5品】持っていると試算するならば,合計で5億品もの「要らないもの」がある。
と指摘しています。1人あたり【10品】の要らないものがあるとすれば、合計では10億品にもなるわけです。想像もつかないほど膨大な量ですよね!
メルカリの仕組みは、「要らないもの」を「誰かに譲りたい人」と「誰かの要らないもの」を「ぜひ欲しいと思っている人」を繋ぐコミュニティーです。利用しやすさを追求しながら、日々進化し続けているサービスである為、ユーザーが利用する「価値」を確実に感じられるような仕組みが整えられていると言えますね。
シンプルかつスピーディーな仕組み:PCに慣れていないユーザーも確実に獲得
元々、「要らないものを売る」という発想は古くから存在していました。既に普及している有名なサービスとしては『ヤフオク!』を挙げることができますね。しかし、『ヤフオク!』はPCユーザーにとっては非常に優れたサービスでしたが、PC慣れしていないユーザーにとっては、少々ハードルが高いサービスだったようです。
また、オークションという形式のため、入札されるまでの時間を待たなくてはいけない、というタイムラグの不便さもありました。「はやく売りたい!」と思っている人や、「PCを使わずに手元にあるスマホでなんとかしたい!」と思っている人の間では、普及率は高くなかったようです。
一方で、『メルカリ』はフリマ(フリーマーケット)の形式をとっているため、金額は変動せず「固定額」で「早い者勝ち」という大変分かりやすい仕組みを整えています。実際のフリーマーケットをネットで展開しているイメージだと分かりやすいですね。
加えて、感覚的に誰もが使えるようなアプリをデザインし導入したことにより、とてつもない速さでユーザー数を伸ばしていきました。「誰でも使える」「簡単に試せる」という「ユーザーファースト」の発想こそが、月間流通規模が数十億円を超えるほどの巨大サービスへと成長させた要因の一つです。
売る「個人」、「買う「個人」にフォーカスした個人と個人を繋ぐプラットフォーム
『メルカリ』の最大の特徴は、「個人」と「個人」の繋がりです。顔を合わせて品物のやりとりをしない便利さがある一方で、買う側からすれば、きちんと商品が届くかどうか…偽物を買わされたらどうしよう…トラブルになったときにどうすれば…などの不安がつきまといます。
また、売る側からすれば、品物を送ったのに「代金」がもらえない…というような不安も拭えません。このような売る側と買う側の両方の不安を和らげるために、取引がきちんと完了するまでは運営側(メルカリ)が代金を一時的に預かっている状態にしています。
きちんとしたルールに沿ってやりとりが問題なく完了すれば、取引が完了となり、売り手に支払いが行われ仕組みです。トラブルを防ぐためにも、直接の代金のやりとりをしない、という気遣いが嬉しいですね。
運営側はこのように個人と個人がうまく繋がり安心してやりとりができるようなプラットフォームを提供しています。そこに、ユーザーが様々な商品を提供し、取引が終われば評価が書きこまれ、新たな情報が追加されていきます。
生きた情報がどんどん生まれ続け、新たなサービスも誕生していきます。トラブルが起こったときに対処してくれる場所、情報を整理してみんなが利用しやすいようにしてくれる仕組み。これさえ整っていれば、義務感や複雑さを一切なくした「フリマ」というコミュニティーの場が快適に作られていくわけです。
世界と世界を繋ぐ未来もそう遠くは無い…!?
捨てるのはもったいない…誰かに使ってもらえたら嬉しい…。
日本から世界に広がった“MOTTAINAI”という視点は、世界共通の感覚かもしれません。『メルカリ』は、2014年4月に米国にオフィスをつくり、9月にはアプリをリリースしています。
現地の人々の意見も取り入れながら、サービスを改良しているという段階ではありますが、一日何千品という規模では受け入れられ始めています。配送時間などの問題があるとはいえ、今後さらにサービスが進化していけば、いずれは日本のユーザーと海外のユーザーが気軽に「個人」と「個人」で繋がる…というようなことも実現可能かもしれません。
個人が感じる不便や安心感、そこから生まれる楽しさにフォーカスした「価値」を提供することで、『メルカリ』は大成功を収めています。今後も注目の企業と言えますね。
「顧客にどのような「価値」を感じてもらえるか」この目線は、どのような業種・業態にも当てはまる、ビジネスの根幹部分です。やるべき事は違えども「誰に」「何を」「どのように」を深掘りして、「ユーザーがそこにどれだけ価値を感じてくれるのか?」
ここをビジネスの「目的」とし「目標」を立てながら「戦略」「戦術」に落とし込む。その為には、成功している企業から学べる事は学び、自社に取り入れていく。そんな柔軟な「編集力」が求められる時代です。
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