次世代のマーケティングに欠かせない「リアル行動ターゲティング」とは?

マーケティングを「行動」で再設計する

・リアル行動ターゲティングで消費者の「行動」「心」を理解する
・「モノ」が溢れかえっている世の中で、差別化のポイントは「モノ」以外にある
・次世代マーケティングは従来型の「モノ軸」ではなく「行動軸」に切り替える

消費者ニーズの多様化によって、マーケテイング戦略自体も時代と共に、複雑、高度化していてます。

伝統的なマーケティング手法は、市場が右肩上がりで成長していた時期に確立したロジック。なので「市場が飽和・縮小したら早めに撤退しましょう。」といったざっくりとした示唆しか示していません。

しかし、設備投資や従業員を抱える企業はそう簡単に撤退なんてできませんよね?

多くの企業は、他の市場で勝負する資源もノウハウも不足しているはずです。つまり、今多くの国内市場が直面している「右肩下がり」状況に対する「教科書的な処方箋」はどこにも存在しないのです。

であれば、「どうしたらいいのか?」どこに着手すべきなのか?」疑問が湧いてくると思います。今回は、マーケティングを「モノ」で発送しがちだった「モノ頭」を「行動頭」に切り替えるためのアプローチ方法を解説していきます。商品だけ、広告だけ、といった部分の手当てでは解決できなくなっている現状を、生活者の「行動」に着目することで、多くの気づき、アイデアをを引き出すことができるようになります!

リアル行動ターゲティングとは何か?

最近少しずつ話題になり始めた「リアル行動ターゲティング」は、ユーザーの「リアルな場=日常の行動」を捉え、ターゲット層の生活スタイルを分析していく手法です。

セグメントごとの行動を把握する方法は既に存在しており、ネット上の検索・閲覧行動・位置情報、など幅広く用いられています。スマートフォンが普及し始めてからは「位置情報の利用」が代表的になっていますね。クーポンの配信やセール品のお知らせなど、ちょうど良い「場所×タイミング」で通知を受け取った経験が、どなたにもあるのではないでしょうか?

このような広告サービスは、場所×タイミングに注目し、ユーザー行動を踏まえた上で提供する広告の事例です。これは、「位置情報」+「BLE ビーコン(Bluetooth Low Energy)[省電力無線通信規格]」の活用によって実現できます。ユーザーのリアル行動に特化したサービスではありますが、厳密には、これはリアル行動ターゲティングとは言えないようです。

ビーコンが近くにあるときにしか、ユーザーにアプローチしていないからです。これは、ユーザーを「点」で捉えている段階です。リアル行動ターゲティングでは、ユーザーを「点」ではなく「線」で捉えていかなくてはいけません。

リアル行動を探るためには、ユーザーの動きを「線」でとらえる

消費者のリアル行動をデータ化すること。そして、ユーザーの動きを「線」で捉え、あらゆる「ライフログ」を分析対象にすること。これこそが、「リアル行動ターゲティング」です。ユーザーの普段の行動を徹底的に分析し、興味・関心を探らなくてはいけません。広すぎず狭すぎず、より効果的に多くの消費者の心に訴えかけるために、ユーザーの日常の姿を捉え「ターゲット層の掘り起し」を行うのです。

普段どこにいて、どのような場所へと移動しているのか。どのぐらいの時間、一定の箇所に留まっているのか。どのような生活スタイルなのか。そこから読みとれる家族構成。様々な情報を膨大なデータから読み解いていきます。以下にユーザーの行動例と、そこから読み取れる情報例を示します。

【ユーザーAの場合】

○夕方から早朝にかけては郊外から動かない。月~金は9時~18時まで都心部に滞在。20時頃に帰宅することが多い。土日は遠出が多く、帰宅は23時を過ぎる。祝日や連休は空港周辺の利用も多い。

≪読み取れる情報≫

※ユーザーAは、郊外在住。平日は都心部で働いている。休日は遠出をし、祝日や連休は飛行機を使って遠出をする。独身の可能性も高いが、既婚の場合は小さな子供はいない。

【ユーザーBの場合】

○夕方から早朝にかけては都内から動かない。月・水・木・金は9時~15時まで都心部に滞在。火は都内からほぼ動かず、周辺を僅かに移動。いずれも帰宅が17時を過ぎることはない。土曜は郊外や都外周辺に長時間滞在しており、移動距離はやや多め。帰宅は22時前後。日曜日は都内にいることが多く、ほぼ動かない。

≪読み取れる情報≫

※ユーザーBは、都内在住。月・水・木・金の4日間、都心部でパート勤務をしている。火曜は仕事が休み。既婚で、やや大きい子供(中学生より上)がいる可能性もある。土曜日は家族で遠出をすることもあるが、日曜は自宅周辺で過ごしている。

ユーザーAとユーザーBでは行動パターンが異なるため,この2者は異なるセグメントとして捉えなくてはいけません。

それぞれのユーザーに配信すべき情報や、配信のタイミングが異なるのは明らかですよね。それぞれの行動に合わせた配信をすることで、広告費を抑えつつ、より効果的に購買行動を促すことができるでしょう。

ユーザーがどのような動きをしているかを「線」で追うことで、よりリアルな行動履歴が読み取れるわけです。ここに、性別や家族構成、職種、購買履歴などの詳細なデータが加われば、ターゲットの情報をより正確に知ることも可能ですね。

データの取り扱いはくれぐれも慎重に!!

最近は位置情報だけでも不安に感じる方が増えています。それに加えて、郵便番号の入力を求められたり、勤務形態や家族構成に関する情報などを聞かれたり…。内容によっては「これは提供したくない!」「こんなこと聞いてどうするの?」と躊躇するユーザーも当然いるはずです。誰でも最初は怖く感じるかもしれませんよね。

情報提供に消極的なユーザーの目線で考えれば、このような懸念事項も浮かび上がります。

  • 匿名性は保たれているのか?
  • どこかに漏れることはないのか?
  • その情報を知ってどうするつもりなのか?
  • 個人情報を提供するだけの見返りはあるのか?

不快感を与えず,そこから得られるベネフィット(利益)を示す。情報提供によって得られる「価値」を正しく伝えることが、ユーザーの理解を得るために必要です。これが今後の「リアル行動ターゲティング」における課題になっています。

得られた膨大なデータをどのように活用するか? あなたの腕が試されています!

個人のオンライン上のデータだけでも膨大ですが、リアル行動のデータはそれよりも遥かに膨大です。データ処理の技術や方法を発展させていくことは、今後のマーケティングの世界における急務となることでしょう。その一歩先を行くのが、今回ご紹介している「リアル行動ターゲティング」での捉え方なのです。

新しい分野だからこそ難しい。それでも試してみる価値はあります!

誰も始めていないことをカタチにできるかどうか…?今後さらに変化し成長していくビジネスの世界で、確実に生き残り、他社から抜きんでるためには、新しい気づきをカタチにしていくことが重要です。自社製品やサービスのターゲット層・セグメントを意識しつつ、新たな視点を取り入れながら、「効率的」・「最適」・「最短」で成果を出していきたいですよね。

リアル行動ターゲティングは、これからのマーケティングには欠かせない、新たな視点です。活用例も少なく、今後の成長が見込める分野でもあります。

経営者や業界のリーダーとしての、あなたの腕が試されているのです!

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