「選択と集中?」本当にその考えが正しいのか?

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他業界ではタブー視されはじめた「選択と集中」

コンサルタントや評論家がよく口にする言葉「選択と集中」「ひとつのビジネスに集中しなさい」という最もらしい考え方・・・。果たしてその戦略は正しいのか?

そこで他業界で実際にあった事例を紹介します。家電業界のシャープは昨年「強み」である液晶技術とその技術を適用した商品に「選択と集中」を行いました。その結果、2015年3月期の決算は2000億円以上の最終赤字に落ち込んでしまいまいました。理由は、海外生産の安価な液晶が市場シェアを拡大し、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)という、液晶に替わる技術が進化したからです。その結果、シャープは失墜してしまったわけです。時代が変われば「強み」も変わる。完全に「強み」がキャッチアップされてしまった事例です。
<ビジネスジャーナル参考>

しかしアパレル業界では未だに「選択と集中」を声高に主張されています。今回はそんな偏った考え方に対し警報を鳴らします。

変わらぬMD力(商品政策)の脆さ

ほんの数年前まではヒット商品やヒット事業を生み出せば、事業をスピード拡大し、会社を短期間で成長させることができました。今はどうでしょう?消費者の多様化や成熟化は予想をはるかに超えながら進化していますよね。

そんな時代に代打で一発逆転の「ホームラン」を狙うのは現実的ではありません。昨年は「ガウチョパンツ」や「コーディガン」といった大きなトレンドがありました。実際、ヤングカジュアルブランド中心のP社はその恩恵を受けて業績が回復しました。

しかし「持続性」という観点で見るとどうでしょう?今年も昨年同様のトレンド商品は生まれるでしょうか?一昨年はトレンド不在に苦しんで昨年はトレンドの恩恵にあずかった。それが結論ではないでしょうか?

現場で指揮をとるMDはじめキーマンは未だに「一発ホームラン」を狙っています。そんな博打的な商品政策で「持続的な競争優位」はいつまでたっても確立しません。

「選択と集中」だけでは勝てない

私が考える「差別化」「競争優位」の源泉は「多角化」です!おそらく多くの人は「本業で儲かって余裕ができてからはじめるべき」と思うでしょう。しかし実際にはどうですか?ひとつの事業にこだわって大きく業績が回復した事例など聞いたことがありますか?

よくて現場維持かどんなに頑張っても5%伸ばすのがやっという印象です。
縮小するアパレル市場の中で売上を伸ばすのは、下りのエスカレーターを全速で駆け上がるぐらい労力も時間も使います。頑張っているのに「成果」が出ない。そんな状況に皆、疲弊しています。「はたしてその一方通行のやり方でいいのか?」まずはその論点で考えてみてください。

大手アパレル企業ではブランドをポートフォリオで管理し統廃合を繰り返しながら新陳代謝を繰り返す「リスク分散型」のビジネスモデルを展開してきました。全盛期のW社は磐石なビジネスモデルとして業界の手本とされていました。これも「マルチブランド化」「多角化」です。しかし現在の凋落ぶりに「多角化」は悪と思われている節があります・・・。

今なぜ「多角化」が重要なのか?

495193237-e1409656848777ここで誤解がないように、私が伝えたい「多角化」について説明します。
多様化し進化を続ける時代において、
1つの事業にこだわっている限り大きく儲けることはできません。なぜならば事業や商売には必ず成長曲線というものがあります。「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」といった具合に推移します。「成熟期」を過ぎればあとは衰退していく一方です。

成熟期、衰退期を迎えている業界の中で「新規事業開発」は必須です。「現在の事業を盛り返してから多角化しよう」というのも現実的ではありません。事業を軌道に載せるには最低2〜3年はかかります。「成熟期」や「衰退期」に始めるようでは本来遅いのです。

新規事業に取り組むタイミングは「これはイケル」というアイデアや事業にであったとき。そしてまずは、はじめてみることが大事です。躊躇する人の多くは「失敗が怖い」と思っています。しかし失敗のリスクよりやらなかったことのリスクのほうが大きいでしょう。「結果は時間差で必ずやってきます」

PDCAを繰り返し軌道修正をしながらブラッシュアップすることで時間の経過と共に答えや方向性が固まってきます。小さくてもオンリーワン戦略になれる分野を数多く持つ、差別化の効いたビジネスモデルを複数持つ、そんな体制が整えば、ホームランとなる事業や商品がなくても、何らかの事業が当たりだし会社規模を拡大することが可能です。これが1つしかなければ選択の余地もありません。

そうなれば自ずとキャッシュポイントも増えてきます。物を作って訴求して売るだけがビジネスではありません。「多角化」の理由は多様な解釈でもあるのです。

特にニッチ市場であれば、市場が小さい分、大手も手を伸ばしにくい傾向にあります。小回りが利く中小企業だからこそニッチで輝くことが可能です。

「小さくはじめて大きく育てる」

多額な資金を投入する必要などありません。些細な行動からテストマーケティングを繰り返せばいいわけです。いわば「実験」からスタートです。一歩一歩階段を作ることで、飛び越えられなかった大きな壁は超えられます。

私のキャリアもこれからどんどん「多角化」します。
たとえ失敗したとして、その経験は必ず学びになり、別の機会で役に立つのですから!
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